Emacsユーザが「実践Vim」を読んだ感想

はじめに

私はにわか Emacsユーザであり, 定期的に Vimへの乗り換えを試み,
挫折を繰り返していました. なんで最近は諦めて Emacsの使い方をまともに
覚えようという方向でやっていこうと決めたんですが, この本を
読んでまた気持ちがぐらついてしまいました.

Vimだからこその内容

Emacsやその他エディタではおそらくこの内容は書けなかったと思います.


Emacsやその他エディタで Tips本を書くとなると, 「こうしたらこうできます」とか
「この拡張を入れたら、こんなことがお手軽にできるようになる」ということが
終始続くことになるでしょう. というのも Vim以外のエディタでは基本的には
ある地点しか見ることができないからです. ある地点でできるベストなことは
どの段階でもおそらくベストです. しかし Vimは違います. それはある地点の
作業を次に活かせるからです. それが "."コマンドです(注 Emacsにも repeatや
マクロはありますが、"."ほど気楽に使えません).


この本では "."をコマンドを活かすにはどのようにすればいいのかがとても
熱く語られています. 繰り返しができることがぐらいは知っていましたけど,
ここまで活かせるものとはこの本を読むまで全く理解できていませんでした.
よほどそれを使いこなせている人でない限り, 発見がたくさんあるのでは
ないかと思います.

Emacsユーザとしての見どころ

先に述べたようにこの本は繰り返しを非常に意識した構成になっています。
Emacsで繰り返しといえばマクロです. この本を読めばマクロの考え方に
何かしら影響を与えてくれるでしょう. 使っていない人であれば使わないのは
損だなと思わせてくれるし, 普段から使っている人はよりよい使い方を
考えさせてくれるだろうと思います. 私自身も大いに考えさせられました.


私自身マクロは頻繁に使いますが, ある程度まとまりのある処理, 例えば行単位
だったりブロック単位であったりで使っていました. しかしこの本でもっと小さな
単位で繰り返しを行っているのを見て, もっと小さい粒度で繰り返しても
いいんだなと考えるようになりました. あともっと繰り返しを軸に編集という
ものを考えていいのだなとも思いました.

Vimmerのコードの見方がわかる

この本ではあるタスクを行うときのシーケンスがたくさん掲載されているのですが,
その過程がすごく面白かったです. 私が Emacsでカーソルを動かすとき, 1文字単位か
word単位か, シンボル単位で目を動かして移動を行っています. それは Emacs
そのような移動を提供をしているからだということに気付かされました. Vimでは
豊富な移動手段があるので, 「えっ、そこへまず移動するの」というのがあって,
いろいろ新鮮でした. Vim使う時の目の置き方も考えさせられました.

おわりに

正直 Vimがここまですごいものとは知りませんでした. この本を読んで初めて
Vimのすごさがわかりました. ユーザ数が多く、熱心な人がとても多い理由も
このすごさがあったからなんですね. 正直舐めすぎていました.
他の本や雑誌の特集等何度も Vimについての文章を読みましたが, これほどまでに
Vimのすごさを伝えることができた文章はなかったんじゃないかと思います.


他のエディタは理解できていないのでなんとも言えないですが, Emacsユーザは
いろいろ勉強になる本だと思います. マクロの考え方しかり, Evilへの切り替え
しかり, Evilユーザが理解を深めることしかり, 勉強になるでしょう.
気になる方は一度手にとって購入を検討してみると良いでしょう.


実践Vim 思考のスピードで編集しよう!

実践Vim 思考のスピードで編集しよう!